この仕事は、ハリウッドなど海外の映画製作においては特に活躍の場が広がっており、日本人アーティストも進出。「ホビット」シリーズのピーター・ジャクソン監督は毛穴などのディティールにまでこだわる人物として有名ですが、彼の要求に応えて作品を成功に導いた日本人アーティストもいます。
特殊メイクのアーティストを目指すには、ヘアメイクや特殊メイク関連のコースが設置されている専門学校に進んで基礎を学ぶという進路が一般的です。映画専門あるいは映像に特化された学べる学科もあり、さらにプロの特殊メイクスタッフに弟子入りするという選択肢もあります。いずれにしても、将来的には特殊美術会社やプロダクションなどに就職し、現場で経験を重ねていくことが重要です。
TV番組なのか舞台なのかによって、求められる技法は異なりますが、専門学校ではそれぞれのヘアメイクを学ぶことができます。化粧品の基礎知識、メイクアップ技術、特殊メイク材料の専門知識とともに、造形や色彩、デッサン力などが身につくカリキュラムも充実。美容師の国家資格やメイクアップ技術資格などの取得に向けたバックアップも充実しています。また映画やTV、映像制作専門の学校では、メイクとともに映画やTV番組の制作全体を学ぶことが可能。さらに、メイクされる人への気遣いや、気持ちを理解するためのコミュニケーション能力を育て、人間的にも信頼されるアーティストを育成しています。
ハリウッド俳優、ブルース・ウィリス氏はメイクが嫌いな俳優として有名です。アカデミー賞にもノミネートされたことがある日本人アーティストの辻一弘さんは、顔のプロポーションが全く異なる俳優2人を似せるという仕事を依頼されました。うち1人はブルース氏だったため、彼の気持ちに配慮し、相手俳優への特殊メイクだけで課題をクリアしたというエピソードがあります。技術だけでなく、一緒に仕事をする仲間のことを気遣う心も大切。ぜひ、人の気持ちが分かる特殊メイクアップアーティストを目指してください。